美食家の友人から届いた贈り物
ある日、グルメな友人から内祝いとしてクッキー缶が届いた。
この友人とは、いつも最近見つけた美味しいスイーツやレストランの情報を交換し合っている。
そんな友人から届いたのだから、どうしても期待してしまう。
深いネイビーの缶に、金色の上品なロゴ。
初めて見る「chez chichi(シェ・シシ)」という名前に、心が躍る。
そっと缶を開けると、中には、バニラとショコラのサブレが交互に整然と並んでいた。
一見とてもシンプル。だけど、ひと口食べて驚きの声が出た。
「え?めちゃくちゃ美味しい…!」想像を超える別格の美味しさだった。
バターの香り、食感、口の中でのほどけ方。そのどれもが静かに、けれど確実に記憶に残る。
噛むたびに香りが広がって、余韻が長くて、明らかに他のクッキーとは違う。
この“余白”のある味わいに、ぐっと心を掴まれてしまった。

あまりの美味しさに、思わずInstagramでお店を探した。
「福岡・警固の小さなパティスリー」。すぐには訪ねられない距離に、少し肩を落とす。
けれど次の瞬間、思わぬ知らせが目に留まった。
阪急うめだ本店の催事で、期間限定の出品中。
迷わず、予定を調整して足を運ぶことにした。

そこで出会ったのは、ひとまわり大きなクッキー缶。
クラシックなデザインの缶を開けると、まるで宝石箱のように詰まった多彩なクッキーたち。
ひとつひとつが異なる食感と風味を持ちながら、全体に品のある統一感があって、どれも妙においしい。
一見脇役のように見える、小さな絞り出しクッキーも印象的だ。
控えめな佇まいなのに、口に入れるとふわっと広がるカカオの香りと、軽やかな食感に驚かされる。
甘さはごく控えめで、カカオの余韻がすっと残るような、大人っぽい美味しさ。
ナッツをまぶしたロールクッキーは、ざくざくした歯ざわりと香ばしさがクセになるし、
真ん中にジャムがのったレトロな見た目のクッキーは、バターのコクにフルーティーな甘みが重なって、くどくない爽やかな印象。
どれも完成度が高くて、ひとつひとつにきちんと“役割”があるような印象。
けれど、やっぱり一番好きだったのは、最初の缶にも入っていた2種類ーサンノンのナチュールとショコラ。
どちらもほろほろとほどける繊細な食感で、食べたことのある定番のバタークッキーのはずなのに、まるで初めて出会うような印象の強さがあった。
何気ないのに、忘れられない。その感覚が、ずっと残っている。
“可愛い”でも“映える”でもなく、
「ただ、美味しい」その一点で人の心を動かすお菓子が、そこにある。
クッキーを口に運ぶたび、ふっと肩の力が抜けるような、そんな瞬間が訪れる。
贈りものにも、自分へのご褒美にも。
記憶に残る、とっておきのクッキー缶だった。
【お取り寄せ情報】
■ 公式サイト:パティスリー シェ・シシ公式サイト
■ オンラインショップ:パティスリーシェ・シシ オンラインショップ(BASE)